2026-07-21 HaiPress

ジェラテリア エルバのジェラートを、ダブルで2種類。左が、師匠のチョコレートとラズベリー。右が、レモンと抹茶。カップとコーンが選べて、シングル350円、ダブル450円、トリプル600円に、4種類のメガ750円。
都内に唯一残る路面電車、都電三ノ輪橋停留場と荒川一中前停留場の間に延びる商店街「ジョイフル三の輪」。今では少なくなった、アーケードが残る。その昭和レトロな情景はロケ地として引っ張りだこで、最近では2026年4月期のドラマ『リボーン ~最後のヒーロー』のメインの舞台となった。そんな商店街に、ジェラテリア エルバはある。

毎日20種類ほどのジェラートが並ぶ。品名のカードのフレームが、緑はミルク系、ピンクがアクア系。
この日はショーケースに22種類のジェラートが並んでいて、迷って決められない。店主の新目(あらため)さんに、ダブルを2種類、おすすめを作ってもらった。
1つは、「師匠のチョコレート」と「ラズベリー」。もう1つは、「レモン」と「抹茶」。チョコレートの色が衝撃的に濃く、それに負けていないラズベリーの赤。一方のレモンと抹茶は、爽やかで夏向きな色合いだ。
師匠のチョコレートを1さじすくって口に入れると、滑らかに舌の上で溶けていき、濃厚なチョコレートの味が広がる。すかさずラズベリーを追いかけさせると、ベリーの香りとまろやかな酸味へと移り変わる。次には両方を取っていっしょに食べてみると、甘い中にほろ苦さと酸味が混ざり合って、新しい味を作っていく。
濃い味や香りのものを先に食べてしまったことをちょっと後悔しながら抹茶を口にしてみるが、トロッとしたミルクの風味の中から抹茶の香りが立ってきて、イタリアから日本に瞬間移動。なんとそこにレモン? と少し疑いつつレモンを。すると口じゅうに拡散する爽やかな酸味を追い掛けて、快いレモンの皮の苦みが舌の奥の方に走った。
4種類それぞれがまったく別の個性をもっていて、単体でもしっかり味や香りを主張してくる。しかし、1種類だけ食べていると気付かない特性が、違う味の刺激で引き出されてくるようだ。

イタリアに修業に行っちゃおう! 自分のお店を出しちゃおう! と行動力抜群の新目さん。ワンオペで店を切り盛りしている。
「そうなんです。日本人はシングルで頼みがちなんですが、ジェラートって、混ざった方が絶対おいしいんです」
そう言われてみると、これまでダブルで注文するにしても、好きなものを2種類選んで、それぞれに食べていたように思う。しかし、チョコレートとラズベリーも、抹茶とレモンも、いっしょになった時により一層それぞれの個性も発揮されるし、混ざり合うと新しい味や香りが生まれる。いろいろな要素を1つにまとめてくれているのが、甘さのように思う。
「イタリアのジェラートは、日本のものよりしっかり甘くて、素材の味を引き出してくれます。味もイタリアのものはパンチがあって、攻めています。師匠のチョコレートは、日本ではちょっと見ない、ケミカルな色でしょう。フォンダンショコラの中身のような濃厚さです」
新目さんの“師匠”というのは、本場イタリアのフィレンツェでジェラート修業した店の店主だ。3カ月留学したうちの2カ月を師匠の店で働きながらジェラート製造を身につけ、残りの1カ月はひたすらジェラートを食べ歩いたという。フィレンツェはジェラート発祥の地と言われていて、新目さんが「原始のジェラート」と名付けているクリーム味のものは元の名を「ブオンタレンティ」といって、ジェラートを考案した人の名前。イタリア人には昔懐かしい味の、定番中の定番だ。
帰国後は日本でも修業するつもりだったが、適当な店が見つからないうちに、自分で店を開くことに。留学から開店まで、その行動力には目を見張るものがある。
「この商店街にしたのは、修業先のフィレンツェに雰囲気が似ていたからなんです。ジェラート屋ってこういうところにあるよな、と」

日によって変わるメニューは、店の外の黒板でも確認できる。「これはなに?」と思ったら、店内で質問してみて。
店名の「エルバ」は、イタリア語でハーブ、雑草という意味。
「スパイスやハーブを結構使っているんです。チョコミントにもフレッシュハーブを入れているし、シナモン、山椒、唐辛子なども。日本に帰ってきたら、和の香辛料にも合うものがたくさんあるなって」
開店当初は12種類から始めたが、少しずつ増やして今は常時20種類前後。ベースは師匠から教わったものだが、ジェラートに合いそうなフレーバーを試しては、これはというものを次々商品化しているので、バリエーションは随時変わっている。
ベースは、ミルクとアクア。ミルクベースだと、アーモンドやコーヒー、チョコレートは定番。アクアでは、マンゴー、ラズベリー、レモンなど。
モヒートまでもジェラートにしてしまう。お酒系ではビールなども作っているという。ジェラートにお酒トッピングもできる。コーヒーは苦みが強い本格派だし、アーモンドにもアルコールが入っているなど大人向けの味も目立つ。イタリアでは、ジェラートは大人が食べるものなのだそうだ。イタリアの星付きレストランガイドにはジェラート版があるぐらい、イタリアの食文化では重要な位置を占めているのだ。

ジェラートに100円でお酒トッピングもできる。「これが、合うんですよ」と新目さん。
開店当初は近隣の人の来店が多かったが、最近では、インスタグラムなどを見て遠くからわざわざ来てくださったのだろうな、と思えるお客さんも増えてきたという。また、「昔イタリアに住んでいたんです」という人や、イタリア人の留学生も「懐かしい」と何度も来店するという。それだけ、本場のジェラートをここに再現しているということだ。
意外なのが、夜21時まで開けているという営業時間。なぜだろうと思ったが、イタリアでは夜の方がジェラート店は賑わうのだそうだ。夏は特に夜更かしで、仕事を終えるとディナーで食べて飲んで、そこからジェラートを食べながらダラダラする。
これまでに作ったメニューの中には、商店街の店とコラボしたものもある。ほうじ茶専門店のほうじ茶の香りを生かしたもの。和菓子屋さんのあんこを使った和風のもの。歳末には、天ぷら店の天かすもジェラートにしたという。

同伴可能なだけでなく、犬用ジェラート150円までメニューにある、ペットフレンドリーな店。野菜や果物とヤギミルクで作り、白砂糖は不使用なので愛犬にも安心して食べさせられる。
「唐辛子まみれの天かすがあって、それをジェラートに入れるとめっちゃおいしいんです。こういう立地なので、野菜やお肉、日用品の買い物に来た人が、ちょっと寄って休憩していくか、というようなお店にしたいです」
そう話す新目さんだが、本物のイタリアンジェラートで商店街に新しい人の流れを作り、ユニークなコラボ商品で近隣の店も元気づけているのではないだろうか。
夜まで営業しているので、「商店街に飲食店が増えてきてくれれば」とつぶやくが、ジョイフル三の輪でごはんを食べてジェラート、という文化が定着する日が、意外と早く来るかもしれない。

2024年4月に開店。都電荒川線荒川一中前駅から徒歩2分、地下鉄日比谷線三ノ輪駅から徒歩6分。ひとりですべてこなしている。店頭の決済は、現金の他クレジットカード、電子マネー、コード決済など。持ち帰りはできるが、発送はしていない。
<データ>
住所東京都荒川区南千住1-25-8
電話非公開
営業時間12:00~21:00
定休日月・火曜
URLhttps://www.instagram.com/gelateriaerba/
※掲載したお店や施設の臨時休業および年末年始・ゴールデンウイーク・お盆休みは営業時間などが変更になる場合がございます。事前にご確認ください。
※2026年7月21日時点での情報です。
※料金は原則的に税込み金額表示です。
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